政府は原則5年ごとに「将来推計人口」を見直しており、年金制度もこれに合わせて5年ごとに見直してきた。
この改革が先ほどの説明のように、保険料を上げて給付は下げるということの繰り返しになっていた。
5年ごとに給付も負担も悪化するので、国民の間に制度への不信感が強まってしまった。
このような不信の連鎖を断ち切るため、前回の2004年改革では制度の考え方を一新した。
まず保険料の上限を決め、その財源の範囲内で年金を払う方式にしたのだ。
厚生年金の場合、会社員の年収の18.3%(現在は約14.3%)を上限とした。
これで少なくとも際限のない負担増という印象はなくなる。
この範囲で年金を給付するために、現役世代の人口が減ったり、年金受給者の平均寿命が延びたりすれば、その分給付水準が自動的に抑えられる仕組みも組み込んだ。
このため、この先は予想より少子化が進んでも、自動調整システムによって給付が抑えられるので、これまでのように大議論の末に給付と負担の両方を見直す作業は必要なくなった。
公的年金制度のもう1つの大きな課題となっていた制度の一元化議論も一段落した。
職業などによって制度が分かれており、それぞれの制度で給付や負担が異なって少子化が進めば自動的に給付が抑えられるとはいうものの、以前に発表していた給付の見通しと大きく異なっていれば、「やはり制度を見直すべきだ」との機運が高まり、与党などに制度見直しの検討会が設けられることもありうる。
いて不公平だとする議論については、公務員らの共済年金と民間会社員の厚生年金を基本的に同じ制度にそろえる方針が2006年4月に閣議決定され、07年の通常国会に必要な法案が提出される予定だ。
自営業者らが加入する国民年金については、サラリーマンが加入する厚生・共済年金とは制度の内容が根本的に異なるため一本化への道筋はつかなかった。
このように、06年末に新しい「将来推計人口」が公表されても、給付と負担、一元化という課題には一応の決着がついているため、さらなる改革を求める声が強まったとしても、最終的には「当面は現状維持で様子を見る」というところに落ち着く可能性が高い。
前回改革の時点では、2002年の将来推計人口を使って今後の給付水準を説明していた。
それによると、現在のモデル世帯(平均収入の会社員の夫と専業主婦の妻が制度に40年加入)が65歳で受け取る年金は現役男性会社員の平均手取り収入の約59%あるが、約2年後に65歳となる世帯ではこの比率が50%まで低下する。
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